それは、1998年のこと。フランスのホテル学校を卒業して帰国し、フレンチレストランで働いて2年が過ぎた頃です。「レストランで友人の結婚式がしたいけど、できる?」と姉に頼まれ、経験はありませんでしたが「頑張る!」と即答。手探り状態のなか、その想いを叶えるために努力した日々が、すべてのはじまりでした。
最初の打ち合わせでお会いしたのは、新郎と幹事。かの震災で結婚式を諦めることになったため、「妻に結婚式をプレゼントしたい」というお話でした。子どもも生まれて落ち着きは取り戻したものの、「やっぱりウエディングドレスを着せてあげたい」と。その強い想いをカタチにすべく、サプライズパーティとして新婦には秘密にしておくことが決まりました。
その後も打ち合わせを重ね、ひとつひとつ課題をクリアしていく一方で、仕事とはいえ楽しさがどんどん大きくなっていったのを覚えています。新婦のお姉さんがウエディングドレスや装花を選んだり、友人たちがドリンクや料理を決めたりしながら、会場内の手づくりデコレーションもスタッフ総出で飾り付け。正直、今振り返っても仕事の枠を飛び越えた仕事だったように思います。
そして迎えた、運命の日。「食事に行こう」と誘われた新婦を個室へお連れし、シャンパンで乾杯した後、「今までありがとう!今日は、できなかった二人の結婚式をしようと思っている」と新郎が宣言。すると、個室内を区切っていたカーテンが開き、ウエディングドレスを持ったお姉さんが「これマジだからね」と、笑顔でいたずらっぽくひと言。新婦は状況が読めないまま着替えとメイクを済ませ、いよいよサプライズパーティがはじまったのです。
会場へとご案内すると、そこには自分の友人、新郎の友人、両親、子どもたちなど100人以上が勢揃い。新婦は感動のあまりその場で泣き崩れてしまうほどでした。そんな新婦を新郎が支え、家族みんなでケーキ入刀。会場に集まった友人たちはもちろん、私たちスタッフも幸せに包まれた瞬間でした。
笑顔と祝福にあふれたパーティもおひらきを迎え、会場を後にする方々が私たちに言ってくれた「ありがとう」の言葉。最後に見送ったお二人からも「ありがとう。おかげでこんなにも幸せな気持ちになれました」と涙ながらに言われ、思わず私も泣いてしまいました。泣きながら「ありがとう」と言われるのが初めての経験でしたし、たった2時間でも魔法のような時間になると感動したことは、今でも忘れられません。
思えばこの日が、私の人生のターニングポイント。こんな素敵な仕事は他にないと思い、そこからひたすら勉強して気づけば年間100組ものウエディングを手掛けるようになっていました。そして、2003年。独立してクレ・ドゥ・レーブを起業し、ウエディング事業をする上でベストな会場をつくろうとして生まれたのが、solaです。以来、スタッフも少しずつ増え、これまでに5000組以上ものお客様のウエディングを行う会社へと成長することができました。
私が大切にしているのは、いつも心を込めてベストを尽くすこと。そうすれば、道は自然と見えてくるものだと思います。だから、これだ!と思ったらすぐに行動しよう。ネガティブな発想なんて、まったく必要ありません。ポジティブなハートでベストを尽くし、ハッピーな世界をたぐり寄せよう。それこそが、クレ・ドゥ・レーブの使命です。
創業者 浅木 雄三